世界には、その国・地域特有で根強い人気があるものの、世界的にみればマイナーなスポーツが数多く存在します。今回は日本でまだあまり知られていない世界のマイナースポーツをご紹介したいと思います。
オーストラリアンフットボール
オーストラリアはラグビーの強豪国として知られていますが、それを凌ぐ国民的人気スポーツとして、オーストラリアンフットボールがあります。オージーの間では「フッティ」という愛称で親しまれ、学校の休み時間では子供達がフッティで遊ぶほど浸透しています。
アメリカでフットボールを指すのはアメフト、ヨーロッパでフットボールを指すのはサッカー、というようにオーストラリアでフットボールを指すのは、このフッティのことを言います。
オーストラリアの中でもメルボルンのあるビクトリア州が特に盛んで、ビクトリア州だけで10チームものプロチームがあります。
広大なフィールドを走り回るスタミナ、高く蹴り出されるボールをキャッチする技術と跳躍力、ゴールポストの間を通す正確なキック力、相手選手の強烈なタックルに耐えられる強靭なフィジカルが必要で、選手として総合力が求められる非常にタフなスポーツです。
・ルール
試合は、1クォーター20分・4クォーター制の合計80分間で行われ、ラグビーやアメフトのような楕円形のボールを使用し、1チーム18人で争われます。
プレイヤーはボールを蹴るか、味方選手にボールをパスして相手ゴールに向かいます。
一方が蹴り上げ、15メートル以上飛んだボールをもう一人の味方選手がノーバウンドで
キャッチするプレー、「マーク」は、その時点からのフリーキックか、攻撃続行かを選択でき、4本あるゴールポストのうち、真中2本の間にボールを蹴り込むと6点、ただし、キック以外の方法だと1点。真ん中以外の両端のポストを通過しても1点のみ与えられます。
相手選手へのタックルは可能ですが、膝下・肩上へのタックルは反則になります。
・オーストラリアンフットボールリーグ(AFL)
フッティの最高峰プロリーグは、オーストラリアンフットボールリーグ(AFL)です。毎年3月から9月の間に18チームで争います。
プレーオフはレギュラーシーズン上位8チームで争われ、年間王者を決めるグランドファイナルは、アメリカでいうスーパーボウルのような位置付けで、当日は全国民が釘付けになります。
リーグの創設は1896年と今から123年前で非常に伝統と歴史のあるリーグになります。
最多優勝はカールトン・ブルースとエッセンドン・ボンバーズの16回でコリンウッド・マグパイズ15回、ホーソーン・ホークスの13回と続きます。これらのチームは全てメルボルンをホームとしておりメルボルン勢で独占されていますが、近年はウエスト・コーストイーグルス、シドニー・スワンズといった、メルボルン以外のチームも優勝し、チーム間の戦力が拮抗しており毎年優勝チームが変わっています。
・魅力
なんといっても魅力は、ヨーロッパサッカーにも引けを取らないスタジアムの熱狂的な雰囲気です。そんな雰囲気の中で行われるスピーディな試合を観れば、スポーツ好きならすぐフッティに引き込まれてしまいます。
各チームには試合後に流れる勝利のテーマソングがあり、自分のお気に入りの曲を見つけることで応援するチームを決めるのも面白いかもしれません。
クリケット
クリケットは、サッカーやラグビーと同様にイングランドが発祥のスポーツです。よって、イギリス連邦諸国では絶大な人気があり、実は世界の競技人口は3億人を超えています。
他の競技と同様に4年に1度クリケットワールドカップが開催され、世界最高峰の戦いが繰り広げられます。
最多優勝はオーストラリアの5回で、前回2019年大会はイングランドが初優勝を飾りました。
ルール
1チーム11人で攻撃と守備を1回ずつ行います。
守備はボウラーと呼ばれる投手が1名、ウィケットキーパーと呼ばれる捕手が1名、フ野手が9名の構成です。攻撃は1番から11番までの打順を決め順番に打ちます。
攻撃のルールは、打つ方向は360度どの方向に打ってもよく、打った後は2人の走者が相手側のウィケットまで走り、ウィケットの前に引いてある安全線に到達すると1得点が入り、往復をするほど得点が加算されます。
守備ルールとして、投手はウィケットの後方から助走をつけてボールを投げますが、肘は伸ばしたまま、攻撃側のウィケットへワンバウンドさせて投球をしないといけません。これを6回投球する事で1オーバーとなり、投手交代となります。交代投手は総オーバーという10オーバー60球までしか投球できません。攻撃側が10人アウトになるか、または50オーバーを投球し終えた時点でイニングは終了し、攻守の交代をします。
アウトを取るためには、
1投手にウィケットを倒されてしまった場合
2打者の打ったボールがノーバウンドで捕球された場合
3走者が走っている最中に捕球したボールが送球によりウィケットに戻ってきて倒されてしまった場合
4ウィケットが倒されアウトになり、次の打者が3分以内に構えが出来ていない場合
5打者がバットを握っていない状態でボールに触れた場合に反則と見なされた場合
6ウィケットを走者が自ら倒してしまった場合や足に触れてしまった場合
が挙げられます。
魅力
クリケットの魅力は日本ではマイナーですが、世界的にはとてもメジャーなスポーツという点でしょうか。クリケットの盛んな国・地域に足を運べば代表戦やプロリーグともなるとスタジアムの雰囲気は熱狂的になります。どことなく野球にも似ているスポーツなので、野球が浸透している日本人にも受け入れられやすいスポーツではないでしょうか。
ラクロス
ラクロスは主に北米・イギリス連邦諸国で人気のあるスポーツです。発祥は現在のカナダ地域の先住民族間で行われた宗教行事とされています。特に人気のあるアメリカではカレッジスポーツ(大学スポーツ)人気種目の一つとして確立しており、数多くの試合がTV中継されます。
ラクロスにおける世界最高峰の大会として4年に一度開催されるラクロスワールドカップがあり、最多優勝は男女ともアメリカで、特に男子は過去全ての大会でアメリカかカナダが優勝しており北米勢の強さが圧倒してます。女子もアメリカが8回、オーストラリアが2回の優勝と、アメリカが圧倒してます。
ルール
スティック(クロス)のようなものを用い、先端に網状の物が付いてます。これでボールを網の中に入れて相手ゴールにシュートして得点を重ねていく球技です。男子は1チーム10名、女子は12名で行います。
攻撃は男子の場合6人、女子の場合7人で行う必要があり、守備はキーパーを含め男子は7人、女子は8人で行うことが規定されます。
また、男子と女子でルールが違うのも特徴です。男子では相手選手へのタックルも可能な為、ヘルメット等の防具を付ける必要があります。一方女子はタックルが禁止されているため防具は付けません。
魅力
ラクロスの魅力は、クロスを使った素早いパス回しや時速160kmを超えると言われるシュートが見どころで、危険でもありますが格闘技のようだと言われる所以でもあります。広大なフィールドを縦横無尽に走り回る選手のスタミナ、攻守にスピーディな展開も見どころです。
ネットボール
1891年にバスケットボールがアメリカで誕生しましたが、その翌年には早くもバスケはイギリスに渡りました。そしてイギリスで女性用のバスケットボールとして発展していったのがネットボールになります。現在ではイギリス連邦の国・地域を中心に競技が行われています。
世界最高峰の大会は4年に一度開催されるワールドカップで、オーストラリアが11回、ニュージーランド5回と優勝しており、オセアニア勢が独占しています。
ルール
1チーム12人編成で試合に出場できる選手は7人。1クォーター15分を4クォーター、計60分で勝敗を決めます。
すべての選手はボールを保持してからパスまたはシュートを3秒以内に行わなければいけません。その他主な特徴として、
1選手ごとの役割・動ける範囲が明確に決められている
2基本動作はパスとシュートのみ
3ボールを持つ選手へのコンタクト禁止
4ボールを持つ選手から足元90センチ以上離れなければならない
5守備側は攻撃側のボールを遮ることで攻撃に転じる(ボールを遮る際の身体接触は禁止)
魅力
バスケに似ているので親しみやすいです。また動ける範囲が決まっておりコンタクトが全く無いので怪我する恐れもなく安全なスポーツなので老若男女楽しめます。ワールドカップともなると、会場の熱気も凄く、ゴールから離れたところから多くのロングシュートが決まるので、選手のシュート精度に注目してみるのも面白いです。
スカッシュ
スカッシュの明確な起源は諸説あり定かではないですが、一説として19世紀初頭のロンドンで開発されたと言われております。その後少しずつ改良が重ねられイギリスでスカッシュ協会が設立、徐々に世界へと広まっていき現在は120カ国以上の国でプレーされています。
世界最高峰の大会は毎年開催される世界選手権で男子はパキスタン人14回、エジプト人11回、オーストラリア人8回優勝とイスラム圏の国が強豪国で、女子はオーストラリア人14回、マレーシア人8回、エジプト人5回優勝と続いてます。
ルール
スカッシュは、四方を壁で囲まれた同じ空間にいる相手と、真正面の壁にあてたボールを交互に専用のラケットで打ち合うスポーツです。相手がワンバウンドまでに打ち返せなければ得点となり、11点先取すれば1ゲーム先取で5ゲーム制なら3ゲーム、3ゲーム制なら2ゲームを先取した選手の勝利となります。
魅力
テニスにも似ており体力が必要そうなイメージですが、実際はテクニックや頭脳も必要とされるスポーツなので、テクニックを磨いていくと体力に自信が無くてもプレーを続けていくことのできるスポーツです。老若男女楽しめるので日々のエクササイズやストレス解消にもオススメのスポーツです。世界選手権ではスター選手達によるテクニックや頭脳プレーに注目です。
まとめ
ご覧のように世界には、まだ知られていないマイナースポーツがたくさん存在します。
マイナースポーツとはいえ、人気な国・地域でスタジアム観戦すると、素晴らしい雰囲気の中で観戦できるので、あなたも一瞬でマイナースポーツの虜になってしまうかもしれません。オーストラリアやイギリス等のヨーロッパ各国は観光地としても人気の場所なので、各国への観光ついでに是非こういったマイナースポーツにも注目してスタジアム観戦されてみてはいかがでしょうか?