ホンダ、13年ぶりのF1優勝までの軌跡! | 海外でのスポーツ観戦・体験・トライアウト・ウェディングはWSC

ホンダ、13年ぶりのF1優勝までの軌跡!

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※画像出典元:Red Bull

 

2019年6月30日、F1第9戦オーストリアGP決勝において「レッドブル・ホンダ」のマックス・フェルスタッペンが優勝しました。

 

ホンダとしては2006年のハンガリーGP以来13年ぶりの優勝です。

 

2015年にF1復帰後の初優勝ということで、これまで中々成績を上げられなかったホンダに復活の兆しが見えてきました。

 

今回はホンダの13年ぶりのF1優勝までの軌跡について、これまでの実績とともにご紹介します。

13年ぶりのF1優勝!第9戦オーストリアGPでの勝因とは?

ホンダは2015年にF1に復帰したものの、これまで思うような結果が中々出せませんでした。

 

ところが2019年のF1開幕戦であるオーストラリアGPにおいて、ついに3位を獲得、表彰台に上がることができました。

 

F1ファンの間では「今年のホンダは何かが違う」と思わせていた矢先、ついにその時がきます。

レッドブル・リンクの標高がホンダに味方してくれた優勝!

「F1ホンダ オーストリアGP 13年ぶりのV  復帰後初」

 

優勝を決めた瞬間、世界中にホンダの栄誉を称える速報が配信されます。

 

ところで2019年のホンダは優勝するかどうかはともかく、確かに調子を上げてきていたのは事実です。ではなぜF1第9戦オーストリアGPにおいてホンダは優勝ができたのでしょうか。

 

それは主催地であるオーストリアの「レッドブル・リンク」に秘密があります。

 

この場所は1969年にオープンしたサーキットで、F1開催においては何度も中止と再開を繰り返してきた歴史がありました。2014年に地元のエナジードリンクメーカーレッドブルに買収されたことで、実に11年ぶりにオーストリアGPが開催されることになります。

 

レッドブル・リンクの大きな特徴は標高700mの山の裾野にあるということです。

 

この標高になると当然低地よりも酸素が薄くなります。標高0mと比較するとおよそ7.5%も酸素濃度が低下します。酸素濃度が低いということは、その分エンジンに対する影響がでます。

ホンダの最大のライバルであるメルセデスはその圧倒的パワーが売りのマシンです。ただしそのパワーを最大限に引き出すには低地並みの酸素濃度が条件です。

 

標高700mにあるレッドブル・リンクは酸素濃度が低いことから、メルセデスのパワーを抑えてしまい足を引っ張る結果を招きます。

 

またもう一つホンダの味方になったのが当日の気温です。

 

気温が35度まで上がり、メルセデスのマシンの冷却が追いつかず、結果オーバーヒートを回避するためにパワーを抑えざるを得なかった点もホンダをアシストしてくれました。

 

つまりオーストリアGPでホンダが優勝できた理由とは、レッドブル・リンクの環境がことごとく、メルセデスのパワーを封じてくれたことが大きな勝因なのです。

13年ぶりに優勝できた最大の理由はレッドブルとのタッグだった!

F1にさほど詳しくない人からしたら、「あのドリンクメーカーレッドブルもF1やってたんだ」と思われたことでしょう。F1といえば、おなじみのフェラーリやマクラーレンが有名どころです。

 

レッドブルはF1においては新興勢力です。ただしレッドブル本体の潤沢な資金力と的確なチーム作り、下部組織からの優秀なドライバーの育成が整っている現在上り調子のチームです。

 

またその実績も素晴らしく、2005年のF1本格参戦から今回のオーストリアGPの優勝まで合計60回も優勝している強豪チームでもあります。

 

レッドブルはチーム編成と車体のみを提供しているチームです。パワーユニット(エンジンシステム)は提携先の自動車メーカーからの供給です。

 

2018年まではのべ12年間フランスの自動車メーカールノーとの契約でしたが様々な理由からルノーとはケンカ別れをします。

 

ところでレッドブルは2015年のホンダのF1復活から冷静にホンダのパワーユニットに注目していました。

 

後にレッドブルの兄弟チームであるトロ・ロッソにおいて、ホンダの技術的進歩を確認したレッドブルは、2020年までホンダからのパワーユニットの供給契約を結びます。

 

勝利に必要な様々な資源を持つレッドブルと契約は、ホンダにとっては復帰からついに「勝てる最強のパートナー」とのタッグが実現したことを意味していました。

復帰から4年!ホンダ製は「勝てるパワーユニット」に進化していた!

2015年にF1に再び復帰したホンダですが、当時はお世辞にも素晴らしいパワーユニットとはいえませんでした。

 

実はホンダが復帰した年は、それまでの「自然吸気エンジン」から「ターボエンジンに2つの回生エネルギー」を組み合わせた「パワーユニット」が採用されてから2年目の年でした。

 

ちなみにパワーユニットとは、「エンジン」「ターボチャージャー」「エネルギー回生システム」「バッテリー」を一つのパッケージにしたシステムのことです。

 

ホンダがF1復帰前の2014年のレギュレーション改正からパワーユニットというパッケージシステムが導入されました。ただしこのパワーユニットの仕組みは非常に複雑なシステムです。

 

そのためフェラーリ、メルセデス、ルノーなどのF1常連チームは早くも2008年頃から開発を始めていました。それに対してホンダのパワーユニットの開発は2013年からと大きく出遅れていました。

 

当然のごとくこのタイムラグが実際のレースでは大きく結果に反映します。ホンダのパワーユニットはパワー不足と不安定なパフォーマンスに加え、トラブルが連発します。

 

そこにはかつての全盛期のホンダのエンジンの面影は全くありませんでした。復帰後最初のパートナーであったマクラーレンからは早い段階で「使えないパワーユニット」の烙印を押されます。

 

当時の最悪な状況の中でもホンダは地道に冷静にパワーユニットの研究と開発を続けます。マクラーレンとは契約を解消しますがホンダはその後、現在のパートナーであるレッドブルの兄弟チームのトロ・ロッソと出会うことになります。

 

そして翌2018年第2戦バーレーンGPでいきなり4位を獲得します。最悪の時期を経験したホンダでしたが、実はパワーユニットはその間も着々と改良され「勝てるパワーユニット」に進化していました。

 

またこの時のホンダチームの忍耐強い努力とパワーユニットの性能の向上をトロ・ロッソの兄弟チームであるレッドブルは見逃してはいませんでした。

2015年F1に復帰!かつての盟友マクラーレンとは契約解消!

こちらでは2015年F1に復帰後のホンダの低迷時期の苦悩をご紹介します。

ホンダF1黄金期時代のマクラーレンと再びタッグを!

ホンダは2015年から7年ぶり4度目のF1参戦を表明します。ところで前回3度目のF1参戦時においての、多くのF1ファンのホンダに対する評価は「勝てないホンダ」でした。

 

3度目の参戦時に唯一優勝できた、2006年ハンガリーGPの優勝も荒れた天候が原因で上位陣が次々とリタイアしてくれたおかげでの棚ボタ優勝というのが本当のところです。

この2006年のハンガリーGP以降、ホンダは2019年のオーストリアGPまで優勝から遠ざかります。

 

ところでホンダの黄金時代とは、1980年代後半からのマクラーレンとタッグを組んでいた時代です。

 

特に1988年のマクラーレンは新設計の「MP4/4シャシー(車本体)」と当時最高の2人の天才ドライバー、そしてホンダの「ターボエンジン」の3つがそろったことで、実に年間16戦中15勝というほぼパーフェクトに近い成績をおさめます。

 

また1983年~1992年までのホンダはウィリアムズとマクラーレンにエンジンを供給することで通算69勝をあげます。

 

これらの過去の実績から、ホンダとマクラーレンは2015年に再びタッグを組むことになります。ただし今回のタッグは2つのチームにとっては茨の道の始まりでした。

復帰後は盟友マクラーレンと不協和音!

ホンダとマクラーレンは2015年に実に1992年以来のパートナーシップを結びます。

 

ちなみにマクラーレンはホンダのパワーユニット搭載前は、メルセデスのパワーユニットとエンジンを20年間搭載していました。

 

ところでホンダの4度目のF1参戦までの7年間のブランクははっきりいって長かったといえます。ホンダ以外の多くパワーユニットサプライヤーは、高出力で安定的なものをすでに作っていましたがホンダは彼らから大きく引き離されていました。

 

特にパワー不足に関してはドライバーやチームのフラストレーションを高めていました。

 

2017年に入るとドライバーからはレース中にもかかわらず公然と「こんなパワー不足でのレースをしたことはない!」と何度もキレられるシーンが見られることになります。

ついにマクラーレンとの契約解消!そして新パートナーレッドブルと!

かつては黄金時代を共有したホンダとマクラーレンでしたが、その関係はレースを重ねるごとに悪化していき、完全に修復不可能になります。ついに2017年両者はパートナーシップを解消します。

 

ところでホンダとマクラーレンが仲たがいをしている時に、この後ホンダとタッグを組むことになるトロ・ロッソも同じようにルノーと仲たがいをしていました。その理由はルノーのパワーユニットのあまりの低性能ぶりが原因でした。

 

またパワーユニットの供給元であるルノーの方も「パワーユニットの故障はトロ・ロッソのマシンに原因がある」とこちらも公然と批判的なコメントをするなど、両者は完全に修復不可能な状態になっていました。

 

そんな中トロ・ロッソは2017年の時点でホンダのパワーユニットは外部が考えるよりもかなり高いレベルに達していると確信していました。

 

ちなみに翌2018年のF1の開幕戦はなんと「トロロッソ・ホンダ」対「マクラーレン・ルノー」の新旧遺恨対決が最大の話題になります。

 

また2018年のトロ・ロッソに供給したホンダのパワーユニットのデータは、当然レッドブルにも共有されていました。レッドブルの方は2018年はルノーからパワーユニットの供給を受けていました。

 

2018年カナダGPで投入されたルノーとホンダの新パワーユニットが比較されると、ホンダはレットブルからパワーユニットに対して高評価を受けます。

 

この年レッドブルはルノーとの契約が終了することと、ホンダのパワーユニットを高評価したことでレッドブルは2019年からはホンダと契約することを決断します。

 

特にこの契約はレッドブルからの意向が強く働き、「車体とパワーユニットの融合を考慮したマシン造りができる」と最高の褒め言葉をホンダは贈られることになります。

ホンダF1の栄光の歴史!

こちらではホンダのF1参戦に関する栄光の歴史についてご紹介します。

1964年ホンダF1初参戦!二輪メーカーからのF1への挑戦!

ホンダがF1に初参戦したのは1964年です。

 

現代の人から見ると当時のホンダは当初からF1参戦には積極的だったと思われているかもしれません。ところが当時のホンダの社員は「F1って何ですか?」というくらいの知識しかありませんでした。

 

また当時のホンダは現在のような自動車メーカーでなく、バイクなどの2輪メーカーでした。

 

さらに信じられない話かもしれませんが、自動車と呼べるものを開発したのも、なんとF1に参戦する前年のことです。しかもF1とは全く関係がない軽トラや小型スポーツカーをやっと発売した程度でした。

 

1962年からF1の設計が始まり、翌年6月には早くもエンジンテストまで何とかこぎつけます。現在では考えられないことですが、創業者の本田宗一郎さんもエンジニアも寝る間を惜しんでほぼ不眠不休でF1マシンを開発します。

 

1964年8月のホンダの記念すべき第1戦目のF1ドイツGPでは、残りが3周というところで、クラッシュしてリタイアしたと報告されています。またF1初参戦のこの年は3戦全てがリタイアという厳しい結果に終わることになります。

1965年メキシコGPでホンダ初優勝!

翌年もホンダはF1に参戦します。

 

ちなみにレースが行われたマグダレナ・ミクスカも2019年F1第9戦オーストリアGPのレッドブル・リンクと同じく高地でした。

 

ただしマグダレナ・ミクスカの方は標高が2,240mもあり、レッドブル・リンク以上に酸素濃度が低くエンジンパワーが低下しやすい環境でした。

 

ホンダチームは燃料噴射装置への混合比率を調整をすることで、エンジンのパワーを出来る限り最大限に引き出します。

 

この時のドライバーがリッチー・ギンサーでした。ギンサーは2位に2秒89の差で優勝を果たします。ホンダにとっては初出場からわずか11戦目でのF1初勝利となります。

1980年代ホンダ黄金時代に突入!

ホンダが2度目のF1に参戦するのが1983年からです。

 

ホンダはF1の古参ウィリアムズと契約を結びます。そしてこのウィリアムズとの提携こそがホンダの黄金時代の幕開けです。

 

1984年のF1第9戦アメリカGPでホンダはついに復帰後初勝利を果たします。そして1988年にはウィリアムズとの契約を解消、マクラーレンとの契約を本格的に結びいよいよ黄金時代に突入します。

最強のF1ドライバープロストとセナの時代

そして1980年代後半のホンダ黄金時代に絶対にはずせないのがプロストとセナという同時代に活躍した2人の天才ドライバーの存在です。

 

マクラーレンの車体とホンダのエンジンというハードウェアも重要でしたが、この2人の天才が同時期に同じチームに在籍してくれたこともホンダの黄金時代に大きく貢献しています。

 

プロストは「プロフェッサー(教授)」と呼ばれ冷徹な走りに徹するタイプ、一方セナはコーナーギリギリを攻める情熱的なタイプのレーサーでした。

 

ホンダの黄金時代はほぼこの二人が交互にワールドチャンピオンを獲得しており、F1の歴史にとっても特に輝かしい時代でした。

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