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日本テニス界を背負って立つ2人の偉大な選手の未来

1 .世界での活躍が難しかった日本のテニス文化

今や、時の人となった大坂なおみ選手の活躍でテニス界は空前のブームと化しています。

 

元来、どのスポーツにもその起源をなぞってきた日本文化ならではの足跡から欧米列国に対して何とか日本独自の手法とメソッドで硬い岩盤を崩す試みが日々繰り返されてきました。

 

ご他聞に漏れずこのテニスにおいてもその踏襲をなぞらえることで、テニスという競技に果敢に挑んできた苦闘の歴史が厳と刻まれています。

 

男子では、神和住純さん、福井烈さん、佐藤次郎さんや山岸二郎さんなどのレジェンド的な活躍で世界にその存在感を確固と示すことができた功労者、そして女性陣では伊達公子さんを筆頭に沢松奈生子さんや杉山愛さん、吉田友佳さんや神尾米さんなどのそうそうたるメンバーが頂点を極めようと挑戦の激闘譜を残してきました。

 

体力を基準にしたアスリート競技での攻防は、身体が小さくパワーが少ない日本人選手の未来はとても楽観できるものではありません。

 

それでも科学的な分析やじっくりとした競技の底上げを図る日本的な試みは、世界と戦えるレベルに達しようとしている今日の世界トップ選手達の活躍を見ればその足取りが決して無駄ではなかったことを現す見事な結果となっています。

 

日本でテニスという文化を広げた最大の功労者は、何と言っても松岡修造さんと伊達公子さんです。

 

松岡修造さんは、テニス界のみならずメディアで連日のようにその活躍が放送されています。

 

その松岡さんも自己の最高成績はウィンブルドン選手権でのベスト8という輝かしい戦歴を納め、世界での存在感を存分に発揮しました。

 

伊達さんは世界ランクを4位までに引き上げ、グランドスラムでの大会も常に上位を脅かす活躍をし続けます。

 

それでも日本のテニス界は、頂点を極めるには至らず苦戦を強いられる状況が続いていきます。

 

長い手足を活かした長身から打ち込むサーブや、パワーそのものが打球に反映されるテニスという競技の限界性を痛々しくも感じる結果をどうしても克服することができませんでした。

 

そんな中、そんな数々のハンディをものともしない2人の選手が出現します。

 

それが、錦織圭選手と、大坂なおみ選手という2人の新世代プレーヤーでした。

2.次世代を担う2人のスター選手

2人の偉大な選手の登場は、私たちが今まで考えていた常識というものを根底から覆されるような結果になっています。

 

世界では勝てないという先入観を嘲笑うかのような2人の活躍は、コートに立った瞬間から相手を飲み込んでいるかのような錯覚さえ覚えます。

 

元々、ボールを扱う技術やテクニックに長けている日本人特有の利点を活かし、相手を上手くいなしているようなマネージングで試合を支配する戦略に持っていきます。

 

コートを広く使い、硬軟織り交ぜて戦うスタイルは物心で圧倒することを好む外国選手達の闘争心を削ぎ落す戦略として輝きを放っています。

 

勿論、2人の選手達がフィジカル面において極端に劣っているというデータは存在しません。

 

寧ろ、テニスにおける俊敏性や持久力、そして下半身の強さなどは他を圧倒するビルドアップを遂げています。

 

これは決して驚くべき結果ではなく、先述したテニスにおけるパイオニア達の長く苦しい挑戦があったからこその賜物なのです。

 

それでも、トップ中のトップに登り詰めるには生半可なトレーニングでは不十分です。

 

食事の面や、ライフスタイル、そして怪我に強い身体作りやフィットネスに至るまで数えればきりがないほど多岐に渡っています。

 

錦織圭と大坂なおみが今後、日本のテニス界を引っ張る存在になることは確実なことですが、もう一段フォーカスして錦織選手と大坂選手ではどのように違うのか、また、頂に立った選手とそれを未だ成し遂げることができない選手との違いは何であるのかを攫っていきたいと思います。

3.錦織圭と大坂なおみとの越えられない差とは?

錦織選手が偉大な選手であることは間違いありません。

 

ATPツアーで抜群の成績を収め、世界ランクでも常に上位をキープし続けています。

 

全米オープンでのチリッチ選手との激闘は、日本中が固唾をのんでその試合を観戦しました。

 

錦織選手は準優勝、そして大坂選手は全米、全豪と連覇を成し遂げます。

 

この2人に共通するポイントは何であるのかを一旦おさらいしたいと思います。

 

錦織選手は所謂、中肉中背で華麗なフットワークを武器に試合の中で駆け引きを重視しながら試合展開をなるべく即効型にしない傾向があります。

 

良い言い方をすれば、じっくりと相手を見極め、弱点やコンディションをしっかりと見定めたうえで針の穴を刺すように戦います。

 

一方、大坂選手は試合全体を俯瞰して眺め、どこがキーポイントとなるかを流れの中で掴むような展開に持ち込みます。

 

錦織選手の試合戦歴を見ると、大会を通じて総打数が多くなることが以前から指摘されています。

 

確かに男子と女子では3セットマッチと5セットマッチというキャパ自体の違いこそあれ錦織選手のラリー頻度は他の一流選手と比較してもだいぶ多いように感じます。

 

このことは、長いツアーを戦う上で致命的な戦略になりかねません。

 

ただでさえ総合的な体力の差が勝利に直結するテニスの試合では、できるだけ余分な消耗を避けて収束させたいと感じるはずです。

 

錦織選手の弱点として指摘されている点はまだあります。

 

それは、強力なサーブを持っていないということです。

 

過去のレジェンドと言われているスター選手達の特徴を見ても、殆どが強力なサーブ力を武器に一時代を席捲しました。

 

大坂選手におけるサーブ力は、今般の結果がものの見事にそれを証明しています。

 

現況が錦織選手のスタイルと論じれば、それはそれで話が終わってしまいそうですが、大坂選手のようにチャンピオンになるため、また強力なライバルであるジョコビッチやナダルとの死闘を制するにはこの二つが何よりも欠かせない要素となりそうです。

 

大きな怪我を乗り越え、最近の錦織選手には一段とレベルアップした趣が感じられる部分もありますが、相変わらず大会終盤にエネルギー不足によるリタイアや故障の再発などで途中休場を余儀なくされる場面が目立っています。

 

憧れのフェデラー選手を偶像化しすぎることで、対フェデラーとのミスマッチを指摘するコメンテーターの論評がメディアを通して騒がれることがありますが、そういった勝負に対する冷静な部分も改善される必要がありそうです。

 

全豪の決勝で見せた第3セットに入った大坂選手の表情は、一切の雑念が取り払われた無二の状態でした。

 

1位と2位では雲泥の差があります。

 

勝負を決めるわずかな差は、これまで指摘したそれら一つ一つが積み重なって集約されたものになります。

 

2人の間に技術的な差があるとは、当然考えられません。

 

頂点に登り詰める選手とそうでない選手との違いは、まだ見ぬ世界へ足を踏み入れる覚悟と決意がなければ到底成し得るものではないからと感じるからです。

 

どちらかというと受け身に見えるタイプの錦織選手は、先に述べたフェデラー選手のように相手を必要以上に持ち上げる傾向があると感じます。

 

これはどの世界にも通じることですが、相手の心を打ち砕く高度な心理戦術は最高峰の攻防には不可欠な要素となります。

 

大坂選手が全豪の最終セットで見せたトランス状態を作り出せれば、錦織選手の壁はもはや壁とはいえない

 

道標になっていると確信できます。

 

錦織選手には、日本テニス界の浮沈みを背負う覚悟を持つことが最後のブレイクスルーだと感じるからです。

 

 

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