3月15日に決勝が行われた2019シーズンF1開幕戦オーストラリアGPは、メルセデスチームのバルテリ・ボッタスが圧巻の走りで優勝、2位にも昨シーズン王者のルイス・ハミルトンが入り、結果的にメルセデスの1-2フィニッシュとなりました。
今シーズンからホンダパワーユニットを搭載するレッドブルのマックス・フェルスタッペンが3位表彰台に上がり、2015シーズンからF1に復帰したホンダにとっては嬉しい復帰後初の表彰台獲得です。
優勝争いはもちろん、その他にも多くの見どころがあったオーストラリアGPを詳細にレポートしていきます。
チャーリー・ホワイティング氏の訃報
2019F1シーズンの開幕を控えた3月14日に、長年レースディレクターを務めてきたチャーリー・ホワイティング氏が肺塞栓症のため66歳の若さで急逝されました。
F1グランプリでは常任スターターを務めディレクターとしてレース全体を監督し、サーキット外でもコクピット保護デバイスである「ハロ」の導入を推進するなどF1の安全性向上に尽力してきたチャーリー・ホワイティング氏は、仕事だけでなくその人柄もドライバーをはじめF1関係者に愛され信頼されていただけに、残念なニュースで開幕戦を迎える事となってしまいました。
氏の功績を称えるとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。
やはりメルセデスは強かった
昨シーズンのコンストラクターズチャンピオンであるメルセデスは、シーズン前の合同テストではライバルチームと比較しても目立ったタイムを出すことも無く、オーストラリアGP前の報道でもメルセデス関係者から「フェラーリに後れをとっている」といったニュアンスの発言もあり、「フェラーリ優勢」が伝えられていました。
しかし決勝レースでは、予選2番手から好スタートを決めたバルテリ・ボッタスが2位ルイス・ハミルトンに20秒以上の差をつけ圧勝し、終わってみれば「王者メルセデス強し」の結果となりました。
昨シーズンは未勝利に終わり、不調に陥っていたかに思われていたバルテリ・ボッタスですが、その評価を覆す圧巻の走りを披露し、今シーズンから導入された「ファステストラップポイント」と合わせ26ポイントを獲得しました。
一方、昨年のドライバーズチャンピオンであるルイス・ハミルトンは予選でポールポジションを獲得したものの、決勝レースでは昨シーズン終盤に見られた絶対的な強さを発揮できず2位となりました。
レース後、マシンのフロアにダメージを負っていたことが判明し、ペースが上がらなかった原因を解決した次戦以降の復調に期待が掛かります。
今後の活躍がますます期待できるレッドブルとホンダパワーユニット
2015シーズンにF1の舞台へ復帰し、今シーズンからレッドブルとトロ・ロッソの2チームへパワーユニットを供給する事となったホンダですが、レッドブルのエースドライバー、マックス・フェルスタッペンが4番手スタートからついに3位表彰台を獲得しました。
レース内容も、タイヤ交換後ペースの上がらないフェラーリのセバスチャン・ベッテルをあっさりオーバーテイクし、終盤には2位を走行するルイス・ハミルトンに迫る走りを見せただけに、次戦以降の活躍が期待できます。
一方、チームメイトのピエール・ガスリーは予選での戦略ミスにより、17番手と後方からのスタートを余儀なくされましたが、最終的には11位まで挽回しました。フリー走行までは上位に食い込むタイムを出していただけに悔やまれる結果となりました。
シーズン前テストで好調だったフェラーリはまさかの低調ぶり
フェラーリ勢は、予選こそセバスチャン・ベッテルが3番手、シャルル・ルクレールもマックス・フェルスタッペンには及ばなかったものの5番手スタートと決勝レースでの挽回が期待されましたが、レースペースが上がらずベッテル4位、ルクレール5位と前評判とは裏腹の結果に終わってしまいました。
レース中の無線でも「どうしてこんなに僕らは遅いんだ?」と問いかけるベッテルに対するチームの返答も「分からないよ、今は…」と、チーム全体が混乱している様子が伺え、開幕前は打倒メルセデスの最右翼と見られていただけに、ドライバー始めチーム関係者の落胆ぶりがその苦い表情からも伺えました。
とはいえ、まだ初戦が終わったばかり。長いシーズンを盛り上げるためにも復調を期待したいと思います。
ダニエル・リチャルドはマシントラブルに見舞われ故郷に錦を飾れず
今シーズンよりレッドブルからルノーチームへ移籍したオーストラリア出身のダニエル・リチャルドですが、予選は12番手と苦戦。決勝レースでの挽回が期待されましたが、スタート時にわずかにコースを外れた際、フロントウィングが脱落するアクシデントに見舞われ、一時はコースに復帰したものの最終的にリタイアとなってしまいました。
チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグが11番手スタートから7位入賞しただけに、悔やまれる地元レースとなってしまいました。
中団チームは戦前の予想通り混戦模様
決勝レースでは6位がハースのケビン・マグヌッセン、以下ルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、アルファルメオのキミ・ライコネン、レーシングポイントのランス・ストロール、トロ・ロッソのダニール・クビアトまでが入賞となりポイントを獲得しました。
注目すべきは、6位から10位までがすべて別チームのドライバーで占められ、特に7位のニコ・ヒュルケンベルグから10位のダニール・クビアトまでのタイム差が僅か約2.7秒の数珠つなぎ状態でチェッカーフラッグを迎えたことです。
6位入賞したケビン・マグヌッセンと、6番手スタートながら惜しくも左フロントホイールのトラブルでリタイアに追い込まれたロマン・グロージャンを擁するハースチームが、中団チームの中では一歩抜け出している感があります。
しかし、今レースでは入賞を逃したマクラーレンのルーキードライバー、ランド・ノリスも予選では8番手に食い込んでおり、ピットストップやタイヤ戦略ひとつで順位は大きく入れ替わる可能性もあります。
今後、上位チームがトラブルに見舞われたり、雨などでサバイバルレースとなった際には、中団チームによるサプライズも大いに期待できます。
レギュレーション変更の恩恵は?
今シーズンは、オーバーテイクを増やし見ごたえのあるレース展開を演出する目的で、フロント・リアのウィングのデザインをシンプルするなどの空力面、レース終盤までアタックできるよう搭載燃料の増加、更にはシーズン開幕直前に採用された「ファステストラップポイント」(決勝上位10名の中で最速ラップを記録した者に1ポイントを付与)と多くのレギュレーション変更がなされました。
オーストラリアGPが行われたアルバートパークサーキットは、公道を利用しコース幅も狭くバンピーなサーキットで、実際に胸のすくようなオーバーテイクはマックス・フェルスタッペンがタイヤ性能の劣化に苦しむセバスチャン・ベッテルを抜いたシーン程度でしたが、優勝したバルテリ・ボッタスがレース最終盤にファステストラップを記録したように、その効果も一定以上は見うけられました。
昨シーズンよりは「前を走るマシンに近づきやすくなった」とコメントするドライバーも少なからずおり、今後オーバーテイクポイントの多いサーキットでは、より白熱したレースが期待できます。
第2戦バーレーンGPに向けて
2019F1シーズン第2戦バーレーンGPは、砂漠に囲まれたバーレーン・インターナショナル・サーキットで日本時間の4月1日(月)0時10分より決勝レースがスタートします。
現地時間は18時10分と暑さを避けるため夕刻からのスタートとなっており、コース全体がライトアップされて行われる幻想的なトワイライトレースとして行われます。
公道を使用したオーストラリアGPとは異なる常設サーキットで、コースアウトした際のランオフエリアも広く比較的オーバーテイクポイントの多いコースレイアウトとなっているため、今シーズンからのレギュレーション変更の真価が問われるレースでもあります。
過去のバーレーンGPでは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが現役ドライバー最多となる4勝を挙げており、オーストラリアGPでは不調に終わったもののフェラーリ&ベッテルがバーレーンGPまでの2週間でどこまで立て直してくるか、ホンダパワーユニットが4本の長いストレートを持つサーキットでどのようなパフォーマンスを見せるのか、王者ハミルトンと開幕戦勝者のボッタスによるメルセデスドライバー同士の争いなど、目の離せない見どころの多いレースになると予想されます。
どこで観戦できるの?
名古屋市中区にあるWSCスポーツラウンジで観戦できますよ。
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所在地:名古屋市中区丸の内3丁目20-9
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